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THAILAND'S AGRICULTURAL KNOWLEDGE


 
2011/12年度の主要農産物に対する洪水の影響

■■畜産
■豚

●状況(洪水前の予測)
①生産 
 2011年の豚の生産量は1,198.4万頭と予測しており、2010年の1,209.9万頭より1.69%減少している。2010年の豚の価格は良い水準にあったが生産費の動物飼料の価格が上昇したことや豚の病気のPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)が流行したこと、さらに豚の成長、生産量に影響する天候不順であったため、生産量は減少している。最も豚の生産が多い場所は中部で2011年には豚の生産量全体の56%が生産されている。主な産地はラチャブリ県、ナコンパトム県、チャチェンサオ県、チョンブリ県、サラブリ県である。

②国内消費 
 国内消費量は生産量全体の約95%であり、国内での消費が主となっている。2011年は上述のような要因から生産量が減少しており、豚の価格が上昇していることから、消費量は減少し、1,125万頭または90万トンとなり、2010年より2.39%減少すると予測している。

③輸出 
 豚の輸出量は口蹄疫の制限があることから、生産量のわずか5%となっており、豚肉および豚肉加工品が1~2%、生豚が3~4%となっている。2011年は豚肉の輸出量が2,500トンとなり、2010年より66.67%増加すると予測している。また、豚肉加工品の輸出量は9,000トンとなり、2010年より9.44%増加すると予測している。近隣国への生豚の輸出については、425,000頭となり、2010年より46.99%増加すると予測している。

④価格 
 2011年の農家庭先価格は平均で65.50バーツ/kgとなっている。PRRSの流行や生産量に影響する天候不順のため、2011年1月の55.51バーツ/kgから継続的に上昇しており、同年8月には76.44バーツ/kgとなり、37.70%上昇した。このため、豚の市場への出荷数が減少した。一方で、近隣国への生豚の輸出が増加した。しかし、豚の価格は同年9月より減少し始め10月、11月には大きく下落し、各65.12バーツ/kg、59.14バーツ/kgとなった。これは、多くの場所で降雨による洪水が発生し、市場への出荷量は増加する一方で、豚の消費需要が落ち込んだためである。また、洪水の影響を受けた養豚業者が飼育している豚を他の農場に移動させたことや、さらなる豚の価格下落を恐れた養豚業者が急いで豚を販売したため、一部の地域では価格が大きく下落し50~55バーツ/kgとなった。

●洪水の影響
①生産  
 2011年5月28日時点の畜産開発局のデータによると、洪水の被害を受けた豚は296,880頭となっており、2011年の生産量全体の2.50%となっている。しかし、この数は被害を受けた全ての豚の数ではなく、豚を緊急に農場から出して移動させた数は含まれていない。

②国内消費 
 洪水発生時には豚の消費量は減少した。しかし、洪水の被害を受けた豚の数は洪水後の国内消費量を不足なく満たすことができると予測している。

③輸出 
 洪水の被害を受けた豚の数は輸出に影響しないと予測している。これは豚の輸出量が生産量全体のわずか5%に過ぎないためである。

④価格 
 農家庭先価格 洪水発生時には豚の消費需要が減少したことから、豚の価格が下落したが、市場への出荷量は増加した。洪水の影響を受けた養豚業者が飼育している豚を他の農場に移動させたことや、さらなる豚の価格下落を恐れた養豚業者が急いで豚を販売したためである。国家養豚業者協会の代表からの聞き取りによると、2011年10月20日時点の豚の農家庭先価格は60バーツ/kgであった。しかし、一部の地域では洪水の影響により価格が大きく下落しており、55バーツ/kg以下となっているが、洪水の水が引けば、消費需要も通常の状態に回復し、価格が上昇することが予測され、2011年12月の平均価格は62.14バーツ/kgと予測している。
豚肉の小売価格 生豚の価格に応じて上昇しており、2011年12月の豚肉(豚のモモ肉)の小売価格は120~130バーツ/kgとなっている。

■鶏卵鶏
●状況(洪水前の予測)
①生産 
 2011年の鶏卵の生産量は100.45億個となっており、2010年の97.87億個と比較すると2.64%増加している。鶏卵鶏は全国で養鶏されているが、主産地はチャチェンサオ県、チョンブリ県、ナコンナヨック県、アユタヤ県、チェンマイ県、ウボンラチャタニ県である。

②国内消費 
 2011年の国内消費量は生産量全体の約97~99%の99.73億個で、2010年の96.43億個と比較すると3.42%増加している。

③輸出 
 国内生産量の余剰分が輸出され、2011年の輸出量は7,172万個、輸出額は2億2,090万バーツとなり、2010年輸出量1億4,380万個、輸出額3億7,512万バーツより各50.13%、41.11%減少すると予測している。これは2010年9月に閣議で鶏卵の輸出を、契約がない限りは一時的に禁止する決定があったためである。

④農家庭先価格 
 2011年の平均農家庭先価格は3.00バーツ/個で2010年の2.65バーツ/個より13.21%上昇している。これは2010年の年末に病気が流行し、2011年の生産量が減少したためである。

●洪水の影響予測
①生産 
 洪水では鶏卵鶏の移動が間に合わず、140万羽の鶏卵鶏が被害を受けた。また、被害を避けるために鶏卵鶏を開放した農家もあった。一部の主産地は洪水の影響を受けていないこともあり、鶏卵の出生率は短期的にわずかに下がるのみであった。

②国内消費 
 通常の国内消費量は2,600~2,700万個/日であるが、洪水発生時には消費量が増加した。また、輸送ルートに障害があったため、商品の拡散が困難であった。そのため、一部の地域では商品が不足した。しかし、洪水の水が引いた後は消費量が通常の状態に回復すると予測している。

③輸出 
 洪水は鶏卵の輸出に影響しないと予測している。これは、鶏卵の輸出が国内の余剰生産量分であることや国内価格が比較的高値であることから輸出がわずかなためである。鶏卵の輸出市場は、契約に基づいて行われており、余剰分の商品を処理するための市場を保護している。

④価格 
 農家庭先価格 上述のとおり、洪水発生時に消費量が増加したため上昇した。また、短期的に高い水準を維持すると予測するが、洪水の水が引いた後には通常の状態に回復すると予測している。
鶏卵の小売価格 農家庭先価格の上昇に伴い、2011年の小売価格は平均で3.21~3.78バーツ/個となっている。

■肉用鶏
●状況(洪水前の予測
①生産 
 2011年の肉用鶏の生産量は10.2007億羽で、2010年の9.7094億羽より5.06%増加している。これは国内外の市場で需要が増加しているためである。肉用鶏の主産地はチョンブリ県、チャチェンサオ県、プラチンブリ県、ナコンナヨック県、ロッブリ県、ナコンラチャシマ県である。2011年にはこれらの産地での生産量は5.2063億羽となり、全国の生産量の約51.04%を占めると予測している。

②国内消費 
 2011年の国内消費量は約935,798トンになり、2010年の898,737トンと比較すると4.12%増加すると予測している。これは消費者が調理済み鶏肉の安全性を確信していることや市場では鶏肉が他の食肉より安価なためである。

③輸出 
 2011年の鶏肉の輸出量は増加すると予測している。これはEUが世界市場の調理済み鶏肉価格が上昇すると予測していることや、中国で最低賃金が引き上げられること、2010年の年末から円高が続いていること、これらのことでEUや日本などのタイの主な輸出先がタイからの輸入を増加させると予測しているためである。2011年の鶏肉および鶏肉製品の輸出量は462,492トン、輸出額は596.95億バーツとなり、2010年の輸出量432,216トン、輸出額522.23億バーツより各7.00%、14.31%増加すると予測している。タイの主な輸出先は日本が48%、EUの42%、その他シンがポール、韓国、カナダ、ベトナムなど10%となっている。

④価格
農家庭先価格 2011年の肉用鶏の農家庭先価格は全国平均で46.81バーツ/kgとなっており、2010年の42.78バーツ/kgより9.86%上昇している。これは業者が国内外の需要にあわせた生産計画を実施していることが影響し鶏肉価格が上昇していることや、エネルギーや食糧危機で動物飼料や肉用鶏の雛が高騰しているためである。
輸出価格 2011年の冷凍鶏肉の輸出価格は平均で61.83バーツ/kgと2010年の56.39バーツ/kgと比較すると9.65%上昇している。2011年の調理済み鶏肉の輸出価格は、平均で136.66バーツ/kgとなり、2010年の126.20バーツ/kgより8.29%上昇している。

●洪水の影響
①生産 
 畜産開発局の畜産分野の自然災害の影響のレポート(2011年11月28日時点)からは、洪水の影響を受けた肉用鶏および鶏卵鶏の数は肉用鶏と鶏卵鶏を分類することはできないが1,423万羽と予測している。しかし、これらの数量は1週間の肉用鶏の生産量が2,000~2,300万羽であることと比較するとそれほど多い数ではない。そのため、国内外の市場で鶏肉が不足するといった影響はないと予測している。これはほとんどの肉用鶏が水から離れた場所で飼育されているためである。また、今回の洪水で大きな被害を受けた肉用鶏の生産地は、ナコンサワン県、ウタイタニ県、ロッブリ県、シンブリ県、チャイナート県、スパンブリ県、アントン県、アユタヤ県、ノンタブリ県、バンコク都、パトゥムタニ県、プラチンブリ県で2011年の肉用鶏の生産量は1.7957億羽と全国の生産量の17.60%となっている。このほか、これらの県の大規模養鶏農家は洪水前に間に合って販売することができ、雛鶏を輸入して他の場所で飼育することが可能であった。

②加工 
 輸出向け家禽類のと蓄場はタイの肉用鶏養鶏業において重要な産業である。今回の洪水でひどくはないが被害を受けた。輸出向けの家禽類のと蓄場のほとんどは生産能力が高く、主要な肉用鶏の生産地に立地しており、洪水の被災地ではないナコンラチャシマ県(CPグループ、カーギル社、レムトン社)、サラブリ県(CPグループ、カーギル社)、ペチャブン県(サハファーム社)、ロッブリ県(サハファーム社、ベタグロ社)などである。これらの全ての生産能力は生産能力全体の50%を占めている。

③価格
農家庭先価格 短期的には洪水のために多くの道路が通行できなくなったため、農家が肉用鶏の雛や動物飼料を輸送することができないため、生産費が高騰し、農家庭先価格がわずかに上昇するであろう。
輸出価格 2011年のタイの鶏肉の輸出価格は前年と比較すると上昇すると予測している。これは2011年にアルゼンチンやEUで肉牛の生産が減少していることから、肉牛が不足し、世界市場で牛肉の価格が上昇し、世界で鶏肉の消費量が増加するとEUが予測しているためである。
小売価格 輸送の問題から生産費に伴い短期的に鶏肉の小売価格は上昇する傾向になると予測している。

■乳牛-生乳
●実情
①生産 
 2011年の乳牛の数は554,468頭と2010年の523,770頭と比較すると5.86%増加している。また、母牛の数についても310,322頭と2010年の301,071頭より3.07%増加している。生乳の生産量は960,000トンと2010年の914,387トンより4.99%増加している。

②国内消費 
 2011年の国内消費量は960,000トンと2010年の914,387トンより4.99%増加している。

③輸出 
 生乳は国内消費のみで輸出されていない。

④価格 

  • - 工場買取価格 2011年3月28日の閣議決定で工場買取価格が18バーツ/kgと規定された
  • - 1kg当たりの平均農家庭先価格 16.14バーツ/kg(2011年1月~6月)

●洪水の影響
①生産
 
 カンチャナブリ県のターモアン郡の乳牛生産者組合、ラチャブリ県のカオクルン協同組合、チャイヤプム県のテープサティット乳牛協同組合、ロッブリ県のタイ-デンマーク・パッタナーニコム乳牛協同組合、カトゥン乳牛協同組合、ナコンラチャシマ県のラムタコン乳牛社、ファーム・チョークチャイ社、コンブリ乳牛協同組合、チュムプアン乳牛協同組合、ピマイ乳牛協同組合、チョンブリ県のバンブン乳牛協同組合が生乳の出荷先であるUHT調整牛乳製造工場の3ヵが生産を停止して、販売することができなくなったため、他の工場に買い取ってもらった。

②加工
 現在(2011年10月)、生乳の生産量は1日当たりに約2,630トンとなっており、ほとんどがUHT調整牛乳製造工場に出荷されている。これは学校が学期休みで学校給食用の低温殺菌(パスチャライズ)牛乳を製造する小規模工場が生産を停止しているためである。洪水後、これまで学校が休みの時期に小規模な低温殺菌牛乳製造工場から生乳を買い取ってきた大規模なUHT調整牛乳製造工場の3ヵ所が被害を受けて閉鎖したことから、1日当たり約314トンの生乳が加工できずに余剰した。その内訳は、次のとおりである。

  1. Nestle(Thai)社 ナワナコン工業団地第2区 50トン
  2. F&F Daily 社 ローチャナ工業団地第2区 134トン
  3. Thai Daily Industry 社 バンパイン工業団地 130トン

 畜産開発局、協同組合振興局、タイ国家乳牛クラブ、乳牛・乳製加工品協同組合(2010)社など関係機関が集合し、この3工場が操業を開始できるまで余剰分の生乳を他の生乳加工業者が買い取ってもらえるように支援を要請した。この要請に協力した工場はForemost(Thailand)社、Dutchmill社、F&N Daily社パクチョン工場、Minor Cheese社、Premier社、TD Dailies Food社、タイ-デンマーク協同組合コンケン工場およびスコータイ工場であった。
 しかし、生乳の買い取りに協力してもらったものの、それでも1日に80トンの生乳が余剰したため、2011年12月27日の閣議で2億550万バーツの予算を承認し、低温殺菌牛乳製造工場にこの80トンの余剰分の生乳を持ち込み生産を依頼し、地方自治体が生産される低温殺菌牛乳を購入し、新学期の始業が遅れているバンコク都、パトゥムタニ県、ノンタブリ県、アユタヤ県管轄の小学校の1~6年の生徒に対して、通常1日1袋の牛乳の配給を60日間のみ2袋配給することを決定した。

③価格
農家庭先価格 工場の買取価格が規定されているため、洪水の影響は受けていない。
調整乳の小売価格 調整牛乳の売り上げが減少しているのに伴い、調整牛乳の小売価格はわずかに下落すると予測している。これは、多くの商品の流通センターが閉鎖したため、国民が購入することができなかったことや、購買力が低迷したため、多くの在庫があるためである。

④国内消費 
 調整牛乳の国内消費量は1日当たり平均2,560トンである。しかし、洪水発生時期については、タイ乳製品協会が現在、消費への影響を調査している。


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